【社長通信】命どう宝(ぬち どう たから)


ウオーキングコースの仁保川沿いから里山を望むと山全体が輝いて見える。

この時期の里山は、コナラなど落葉広葉樹だけでなく、カシなどの常緑樹の若葉もいっせいに芽吹き、太陽の光加減では、山が笑っているように見える。
俳句の春の季語に「山笑う」というのがあるが、まさに今の季節を言いえて妙、つられて私の心も笑ってしまう。因みに夏は「山滴る(したたる)」秋は「山粧う(よそおう)、冬は「山眠る」というそうだ。四季の移ろいを楽しめる感受性を大事にしたい。 


さて、春の全国交通安全運動が始まっている。
5月11日(土)から20日(月)までの10日間。この運動を前にして悲惨な交通事故が立て続けに発生し、世の中に衝撃が走っている。
その中でも4月19日に起こった東京・池袋での事故は高齢者(87)の運転する車が赤信号を無視して暴走し歩行者等をはねた。自転車の母子2人が犠牲となり10人が負傷。 
さらに5月8日の滋賀県・大津市で起きた保育園児2人の幼い命を奪った事故は日常の中にある自動車という走る凶器に身震いする。
右折レーンから右折しようとした乗用車と対向車線を直進してきた軽乗用車が接触し、軽乗用車が信号待ちの園児の列に突っ込んだ。
この他にも全国各地で大小さまざまな事故が毎日のように発生している。  

池袋の事故の後に、高齢者の運転免許証の返納が増えているという。
高齢者による事故の犠牲者やその遺族の無念さは想像を絶するものがあるが、加害者も絶望の淵に追いやられた心情ではと察しられる。人生の終末を拘束の身で迎える心境は想像を絶する苦を伴う。

これらのことは決して他人事ではなく、我が身にも起こりうる事と覚悟してハンドルを握らなければならない。後期高齢者を目前にわがこととして自戒する。  

大津市での事故の当事者は共に女性で52歳と62歳という。その後の捜査で直進車の運転者は接触時の衝突音で事故に気付いたとのことで、ぼーっとして運転していたとのこと。人間誰しも集中力が途切れることはあるものの、ハンドルを握っているときは走る凶器を操っているということを肝に銘じなければならない。
ちょっとした気のゆるみがその後の人生を狂わすということに想像力を巡らしたい。  

その他にも事故の原因は多種多様だが安全運転の自覚があれば大半は防げる。
それとは真逆の悪意に満ちた運転、いま、問題となっているあおり運転はそれこそ犯罪である。感情の抑制のきかない運転者自身の心の問題のようで恐ろしい。
これらは今の世の中のネガティブな面の表出のように思える。つまり先の見えない漠とした不安から世の中に不満を抱く反抗的心情がもたらす行為?そんな風に思えるのだが。  


1年で一番過ごしやすいこの季節、自然の中で生かされる命の光と影に想いをいたす。
命どう宝(ぬちどうたから)という言葉がある。
命こそ宝、なにをおいても命こそが大切であるという沖縄の方言。安全・安心を担う当社の心根として掲げさせていただいている。
この言葉を心に刻み、一味同心、それぞれの生を楽しもう。   
代表取締役 加藤慶昭(令和元年5月15日記す)

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