【社長通信】秋深き、もの思う

「秋深き、隣は何をする人ぞ」という芭蕉の句があるが、コロナ禍の中で人との付き合いも疎遠になり、そのような心境に陥る。

ここ数日の急な冷え込みで山々の紅葉が美しい。深みを増した赤や黄色が遠くふる里の記憶を呼び覚ます。もの想う秋である。


さて、ワクチンの接種が7割を超えたこともありコロナの感染が劇的に減っている。県外への移動も、夜の飲食も制限が緩められ徐々に日常が戻りつつある。しかし感染が少なくなった理由がはっきりせず、人びとの心にはためらいがあるようだ。寒さに向かい第6波の感染拡大やインフルエンザの流行を危惧しているのかもしれない。まだしばらくは予断を許さないようだ。


そんな中、秋の夜長は、灯火親しむべし、といわれるように読書が一番である。

読書週間は10月27日から11月9日までの2週間でしたがこの期間にとらわれずに読書を習慣としたい。

因みに私の場合は早朝ウォーキングが日課となっており9時半就寝、4時半起床が習慣化している。その代わりといってはなんだが、出社した7時から退社する18時までの半分以上が読書の時間である。新聞も含めて毎日新書版1冊分に相当する文字数を読んでいるのではないかと思うが、それが私にとって義務化された仕事のように思う。


購読する新聞3紙の書評欄は毎週必ず目を通し目についた本は書評を読み購入の参考にする。話題の新刊本から古典とされるロングセラーの本まで、その時代、時代によって紹介される本は多様である。そんな中に購入したが積読になっている本があったり、時には著名人の読書体験などで、私が過去に読み感銘を受けた本が出てきたりして仲間ができたようで嬉しくなる。



そんな中にジョージ・オーウエル著の「一九八四年」という本がある。1948年、45歳の時の著作で1984年の未来を予測して書いたディストピア小説である。

第2次世界大戦後の混沌とした世界情勢にあって、覇権争いをする未来の監視社会を描いている。それこそ現代のIT化による監視社会そのものである。中国の監視カメラによる国民一人ひとりの行動把握、AIによる顔認証にて不都合な人物の拘束など近未来を鮮やかに予測し、描き出している。この本の評価は聞いていて、以前に購入していたのをこの度読んで改めて現代の、今の時代の状況に畏怖を覚えた。


日本でも昨年9月に発行された桐野夏生著「日没」が話題になっている。監視社会で権力に反する思想を持つ芸術家を収容所に入れ、転向を迫るディストピア小説である。たかが小説(フィクション)と侮れない時代の反映である。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に当たってマイナンバーカードの登録、各種システムへの紐付けのためにさまざまな特典を設けているが、要注意です。きちんとしたメリット、デメリットの説明なしに、こそこそやっているようで信用できない。


信なくば立たず です。


代表取締役 加藤慶昭(11月15日記す)

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