【社長通信】生きづらい世の中で

暑さ寒さも彼岸までといわれるが、今年は9月も半ばというのに33℃を超える残暑が続く。野では真っ赤な彼岸花が暑さをあおり立てるように咲き始めた。中空に懸かるまんまるな月が涼しげにこの人の世を眺めている。季節は確実に秋へと移ろっている。


さて、今の世の中、重苦しいどんよりとした空気が漂っているようで生きづらい。

全てがコロナ禍によるものとはいえないが、「ものいえば唇寒し秋の風」というように誰もが言いたいことがあるのに口籠り、人間関係が希薄になっているように思えてならない。


社会のあらゆる分野で大なり、小なりの不具合、不都合が多発している。

幼稚園の送迎バスの中で失われた幼い命は、まさにこのような世情の隙間で起こったヒユーマン・エラーと思われるが、そればかりではなく、意図して起きる事件もある。検察の張り切りに期待したい。


ところで、19日は敬老の日である。私にも地区からお祝いの品が届いた。

子どもの頃の唱歌「船頭さん」では、♪今年六十のおじいさん♪ であったが今では70歳、否75歳ではないかと思われる。

先日発表された令和3年版簡易生命表によると日本人男性の平均寿命は81.47歳、女性87.57歳とあった。私もその寿命を意識して少なくともそれを超えるように生きたいものと意識して、努力はしている。


日頃、新聞を読むのが仕事のようになっているがなぜか訃報欄にも目がいく。平均寿命より上の人は天寿を全うしたと受け止め気にとめないが、それより若くして亡くなる著名人の場合には好奇心が湧く。病死や事故など死因はさまざまだが、自らの生と重ねあわせて想いを巡らす。そしてままならぬ命を前に無意識のうちに謙虚になる。最近著名人の訃報が伝えられるが功成り名を遂げた人には心からの敬意を表し、冥福を祈っている。


その中で、京セラやKDDIを創業し、JALを再建した経営の神様といわれる稲盛和夫氏は、天寿を全うしての大往生と心からの敬意を表している。

稲盛氏は自らの経営哲学を伝える「盛和塾」にて多くの経営者を育てた。日本と海外に合わせて104の塾があり、1万5000人もの塾生が学んだという。人としての生き方「人生哲学」、経営者としての考え方「経営哲学」を学ぼうと1983年に集まった自主勉強会に端を発している。真剣に学ぼうとする塾生とそれに応えようとする稲盛塾長が互いに魂の火花を散らす人生道場となった。

ソフトバンクの会長兼社長の孫正義氏も学んだとのこと。また、中国でも4000人余りの経営者が神髄の「利他の心」を学んでいるという。資本主義経済が限界に来ているともいわれる中で、国家資本主義の国・中国がこれからどのような経済発展を遂げるか注目している。


私も塾生になるほどの熱意はなかったが、著書等を通して多くのことを学ばせていただいた。

私に経営者としての覚悟をもたらした言葉がある。

「全社員の物心両面の幸福を追求する」のが会社の経営目的であるという文言。

私がいつも言うように、縁あってわが社、(有)セフティワンに集まった者が目的に向かって心を一つにすること。それを「一味同心」と称しているが、みんなで幸せを目指して努力する、生き甲斐、働き甲斐のある会社にするということである。この度、このことを強く再認識させられたのであった。


最後に、みなさんの努力の積み重ねで、一歩、一歩前進していることが実感される今日、ありがたく心より感謝している。「一味同心」みんなで幸せになろう!


代表取締役 加藤慶昭(9月14日記す)

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