【社長通信】梅一輪 一輪ごとの 暖かさ

わが家の庭でも少しずつ春が感じられる。

山茶花と入れ替わるように水仙が咲き蝋梅そしてマンサクの黄色い毛糸のような花がほんのりと暖かい。

そしていま、紅・白梅の小さな蕾が開き始めた。花の好きな妻がそんな花々を切り取っては家のあちこちに生けている。玄関はもちろん居間や台所、そしてトイレまで、花のおかげで我が家も華やぐ。

そんな季節の移ろいを感じながらも鬱々した気分で日々を過ごしている。無意識のうちに身も心も何かに縛られているような感覚だ。

いつもの早朝ウオーキングと自宅から3㌔余りの事務所との往復を繰り返す毎日である。車の走行距離は1日平均10㌔に満たない。運動は問題ないがなにかが足りない。人間関係の基本である人々との密な会話が制限される。この不自由さが目に見えないストレスになっているのかも知れない。

ところで、このコロナ禍で営業に制約を受ける業種は大変な危機にあるが、わが社はお陰様で平常通りの営業を続けられている。

「一味同心」各人が自らの業務を理解し、しっかりとその職責を果たしている姿は頼もしい。この季節、天候によっては中止もある。その場合は有給休暇に振り替えたり、普段できない作業などをしてもらっている。


私にとって日常の業務は1日平均2時間ほどの事務処理で、それが済むとフリーで時間がたっぷりあるように見えるがそうではない。

朝7時出社、夕方6時まで事務所にて、各種新聞を読むことと、大事な記事のスクラップ。それらが昼までかかる。

休み明けや外出などの所用が重なると丸1日かかることもある。これは20代の出版社時代から身に付いた癖で一種の生活習慣病みたいなものか。

その後は趣味の時間である。メールやスマホでの情報収集やら読書である。

新聞の書評欄には毎週目を通し、その中で心にヒットする本は手に入れる。ジャンルを問わず月に5、6冊は購入。それに以前手に入れて未だ読んでいない本いわゆる積読の解消、そして過去に読んだ本の再読もある。

以前読んで感銘を受けた本でも齢を重ねた今読むと新しい発見がある。後期高齢者となり人生の残り時間が少なくなる中で読まなくてはと思う本があまりにも多く焦りを覚える。しかし今の読書は義務ではなく趣味なのだからと気を楽にする。



最後にこの度のパンデミックは今まで見えにくかった社会の歪みや矛盾などをあぶりだしてくれた。

コロナ禍での自粛や制約などさまざまな要請による経済的しわ寄せは社会的弱者といわれる人びとを直撃している。つまり貧富の格差拡大である。経済のグローバル化やIT技術の進歩により富める者はますます富み人口のわずか1%の人びとが世界の富の50%を占めるという異常。このままでは経済が回らなくなるとの危機感が大富豪から出てきた。日々暮らし、生き方を見直すべく転換期にあるということを痛感する。

コロナ後の世界がどう動くかしっかりと注視していきたい。

「一味同心」も自分事として世の中の動きに目を凝らしていただきたい。


代表取締役 加藤慶昭(3月15日記す)

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